最後の大会に負けた教え子
最近中学3年生になる教え子から連絡がきた。
どうやら所属する少年団チームの最後の大会で敗退してしまったようだ。
その教え子は悔しさを滲ませながらも、全力でやり切った様子で、次の目標に向けて前向きに進んでいこうとする気持ちが伺えた。
少し微笑ましくなった。
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こういった状況には多くの人が遭遇することだろう。特に家庭を持つ人や子供と接する仕事をする人にとっては、必ず訪れる出来事である。
その中でもスポーツをする子供たちと関わる人にとって、”最後の大会”というものの持つ意味は非常に大きい。自分の目標としていたところに到達できずに、悔しい想いをする子供たちに何て声をかければいいのかわからなくもなるだろう。
ここで有名なクイズを紹介しよう。わかる人にはすぐにわかる問題だ。
「Q.100チームでトーナメント戦をした場合、全部で何試合行われるか?」
答えは「A.99試合」である。
トーナメント戦においては、1試合するごとに1チームが敗退する。
つまり、100チームのうち99チームは敗退するわけなので、99試合行われることになる。
この原理は数字で見ると納得できるものではあるが、実際に置き換えて考えてみるととても残酷な事実である。
100チームのうちほとんどのチームは優勝を目指して大会に臨むのに、それを実現できるのは、たったの1チームである。
それに限らず100チームのうち半分の50チームは勝ちを経験することさえできない。
そして99チームの選手はみな、大会から敗退したという事実に向き合わなければならない。
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”負けることは悪いことではない”
負けることには全てマイナスの面があるということではない。特に子供たちにとっては、そのときに感じる悔しさが成長するための糧となるのである。大人になってからも、うまくいかないことはたくさんある。それでも、そのうまくいかなかったことをどう感じ取るかで、その失敗の価値が大きく左右される。失敗の価値は固定されていない。その価値の大きさは人それぞれの失敗に対する考え方の違いに影響される。だから、成長段階の子供にとって負けというものは、そこから多くの学びを得ることのできる機会なのである。
”結果よりも大事なことがある”
ここがあまり多くの人には理解されていない考えである。人間の生物的な本能でやはり勝ち負けといった結果に強い執着をもってしまう。もちろんこの性質を持っていなければ成功することはできない。しかしその志向が強いあまりに結果以外のものがみえなくなってしまうことがある。これが問題なのである。
結果は運による要素も絡んでくる。だから、私たちには結果を決定することはできず、できることは結果が出る確率を上げることである。たとえ能力のある人であっても、全てにおいて結果を出すことは現実において不可能なのである。
最も重要なことは、私たちが何を考えどう取り組んで結果を出そうとしているのかである。この過程こそがその人にしかできないという独自性や価値を作り出す。つまり、結果を出すことよりも、結果を出すために形作った”アイデンティティ”を確立することの方が重要なのである。
ここは本当に文章じゃ伝わりづらい。。。
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今こそ、あなたの子供・生徒がとても重要なことを学ぶチャンスです。
「よく頑張ったね。」
と言ってください。
そして、
「結果よりも大事なこと」
を伝えてください。
これが私の願いです。